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松原 久子

驕れる白人と闘うための日本近代史

驕れる白人と闘うための日本近代史

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定価 : ¥ 1,600
販売元 : 文藝春秋
発売日 : 2005-08-24

価格 商品名
¥ 1,600 驕れる白人と闘うための日本近代史
「猿の踊り」であったかもしれないが?

本書についてレビューする前に2点指摘しておきたい。
まず、タイトルは少々過激であるが、原著は「宇宙船日本-真実と挑発」と至極、穏当なものであり、もう一つは、原著が欧米人を相手にドイツ語で書かれ、そして1989年、冷戦終了数週間前の時期にミュンヘンで出版された点である。

進んだ西洋文明がアジアをはじめとする後進地域に恩恵を与えてきたといった欧米人の思い込みは、当時は(今でも?)強く、長く欧米で暮らす著者にとっては憤りの源泉となり、これが執筆の動機となったのであろう。西洋文明の優越性といっても、実は15世紀末からの大航海時代以降のことであり、それまでは東洋の方が、経済的にも豊かで文化的であった。日本について言えば、江戸時代は3,000万人の人口を平等・幸福に存続させていくエコロジカルで優れた社会システムがあった。そして、日本は開国の時にはこれに対応できる社会体制も整っていた。著者の論調は、少々荒っぽいところも感じられるが、小気味よい。

明治維新後の治外法権、関税などの不平等条約改正のための努力は涙ぐましいものがあった。鹿鳴館の舞踏会は「猿の踊り」であったかも知れないが真摯な努力として温かく見るべきであろう。そして著者は、欧米から学んだ「武力の政治」を今度は朝鮮・中国に応用し、植民地拡張主義をとり、超国家主義化していったと指摘する。これは、いささかステレオタイプ化された考えの気がする。
序章を含めて全17章のうち第15章「猿の踊り」がなければ星5つとするのだが。


冷静な、熱い本です。

私は高校生の頃、どうしても歴史の勉強が好きになれませんでした。この本を読んで、それがなぜだったのかがわかった気がします。歴史は今現在の時間の積み重ねなのですから、当然一連の流れがあるわけで、決して突発的な出来事の積み重ねではない。その流れが歴史の教科書では見えてきませんでした。

しかしながら、この本は本当にその時代、時代の人の心の機微まで見せてくれるようです。ドラマ仕立てで説明されているわけではないのですが(むしろその逆、淡々と時代背景が語られます)、私たち日本人のものの考え方、またヨーロッパ人のそれらが、なぜ現在のようになるに至ったのか、またなぜ現在も戦争の火種がなくならずにいるのか、それらの理由をそれぞれ時代の「真実」や、時代を超えても変わらない「普遍的な何か」を見定めることによって解き明かしています。

訳者によると原著の副題は「真実と挑発」だそうで、それはこの本を通した内容、語り口調を見事に表現した題だと思います。真実が何であったか判断はできませんが、歴史の表立ったところからは見えない、「人々の実際の生活」を脚色をできるだけ省いて表そうとする文面、またその中でときおり見られる熱を持ったメッセージが、「どうしても理解して欲しい」という強力な訴えのように突き刺さります。私は読み進めるうちに何度か、涙までしてしまいました。

ちなみに、外国で暮らしたことのある方、仕事などで外国人とのコミュニケーションに苦労をしたことがある方などは、とても共感されるのではないかと思います。

本当に、この本はお勧めです。

西洋中心の近代史に別の角度からの新しい視点を与えてくれます

学校で習った世界史は西洋(白人)中心のものでしたが、それを学んで遅れていた日本が近代化出来た、本当にそうなんでしょうか?
この本は、別の角度からみた日本の近代化についての視点を与えてくれます。
日本が近代化できたのは、必要な要素が全て備わっていたから、工業化の面で遅れていたのはその必要が無かったから、軍事力の面で遅れていたのは平和に生きられて争いの必要が無かったから、学校の教育制度、商業・商品の流通システムも銀行制度もすでにあったものそれ西洋風に置き換えただけ、西洋に学んで簡単に近代先進国になれるのなら先進国は沢山出来ていたはず。  日本だけがそうなれたのかその理由がよく分かります。
 この本はドイツで出版されたものの翻訳版とのことですが著者のその勇気に感謝します。
少しでも多くの日本人に読んでもらいたい本です。

世界において日本が果たしうる役割

日本では未だに西洋文明に対して気後れしている所がある。
それに対し著者は明確に答える。
ヨーロッパにおけるキリスト教の絶対的な君臨から、真実を求める
風土が生まれ、近代文明につながった。またヨーロッパの土地は
貧しく、貿易のために白人奴隷を売りさばかなければならない
ほどだった。
そんな白人が大航海時代に世界に出て行ったのは、すべては欲得
からだった。
対して日本は圧政もなく、市場が供給過剰のため工業化の必要性は
なかったのだ。

生活空間が狭くなり資源を食い尽くすと次々に外へ侵略を
繰り返していく。
このような身勝手で傲慢な白人の個人主義ではなく
集団主義が見直されている。
日本がどのように限られた空間で平和に過ごしてきたか、
日本が培ってきた知恵が見直されるべきである、と著者は述べる。

今日、表面的には植民地は無くなり、人種差別も撤廃されたように
見える。20世紀で最も成功をおさめた国とされる日本。
そんな日本を苦々しく思っている白人は多い。

アメリカはグローバリズムのもとに、あらゆる手を使って日本を
都合の好い様に変えようとしている。
この本がドイツで出版されたのが1989年。当然、白人の知識層も
読んでいる。それが日本への理解に繋がればいいが、日本を
攻略するためのヒントとされる危険もはらんでいる。

日本は貧富の差の拡大をとめる効果的なメカニズムが存在した
ために革命も起こらず、安定して発展を遂げることができたと
書かれているが、現在の日本はどうだろうか。

長い間、日本の美点とされたものが、今、壊されようとしている。
これは喫緊の問題だ。
本書をもっと多くの日本人が読んでくれることを切に願う。

目からウロコの歴史書

白人に対して何となく気後れを感じているすべての日本人に、
是非読んで欲しい好著です。
幕末に「開国」した日本が、いかにして「奇跡の成長」を遂げたか、
それは白人がそう主張し、日本人もまた刷り込まれてきたように
「白人に啓蒙」されたのではなく、日本にすでに素地があったのだ
(「農民自治」「街道・通信システムの整備」「学校制度」「銀行」
などなど)と歴史的具体例をあげての主張は日本人である私にも
「新たな視点」を与えてくれるものでした。
わかりにくい流通システムが、実は「外圧への抵抗」から
きていたものだとは思いませんでした。
遠いドイツで、ドイツ語で「日本の底力」を言葉で表現し続けている
著者は素晴らしいと思います。
一度、読んでみてください。

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