日本の歴史講座ガイドで日本の歴史を探求しましょう。
津本 陽

名をこそ惜しめ 硫黄島 魂の記録

名をこそ惜しめ 硫黄島 魂の記録

人気ランキング : 5530位
定価 : ¥ 1,890
販売元 : 文藝春秋
発売日 : 2005-10-25

価格 商品名
¥ 1,890 名をこそ惜しめ 硫黄島 魂の記録
迫真の名文しかし・・・

硫黄島は太平洋戦争中最大の激戦、そして圧倒的物量の差がありながら日本軍よりもアメリカ軍の損害が大きかった戦いです。作品では日本軍がいかに艱難辛苦を嘗めながらも不屈の精神力で戦ったかが迫真の筆致で描かれています。400頁の大作ですが思わず引き込まれて一気に読みました。しかし残念なのは登場人物の相関図がなく、描かれている人物の位置づけがわかりにくいこと、そして巻頭の硫黄島の地図が簡単すぎてどこの戦闘のことがかかれているのかわかりにくいこと、さらに場面が頻繁に変わることです。こういったところにもう少し配慮があれば星5つにしたかったと思います。太平洋戦争についてある程度の予備知識がない人にとってはわかりにくいかもしれません。しかし、戦場の描写、兵隊の筆舌に尽くしがたい苦労、苦しみが迫真の筆致で描かれている点は高く評価できると思います。

忘れてはならぬ歴史の真実

数ある太平洋戦争の局地戦の中で、ややマイナーな感もある硫黄島での激戦に焦点を当て、その当事者達の言葉や史実を基に記した歴史的大作。

筆舌に尽くし難い日本軍と米軍の激戦だけでなく、その激戦に至るまでの硫黄島の兵隊の苦悩を、実に生々しく描写している。

飲み水さえ満足に確保できない過酷な環境下での、日本兵達の想像を絶する米軍上陸前の下準備(地下防空壕の建設)。歴史上類を見ないほどの米軍上陸後の激戦と日本兵の必死の抵抗。一人一人の家族を持ち、故郷を持つ兵隊たちの苦悩。などが、実にリアルに生々しく描かれ、読む人の心を大きく打つ。

私は戦争を一切知らない世代であるが、この本を読んでいて、二度ほど涙が零れ落ちるのを我慢することが出来なかった。

一切の援軍を期待できず、ただ可能な限りの抵抗を繰り広げようとする兵隊一人一人の生き様は、まさに『名をこそ惜しめ』の精神を体現している。

このタイトルにこそ、激戦を戦い散っていった無数の兵士の思いが凝縮されているのだろう。

戦後60年。忘れ去られてはならない歴史の事実がこの書にある。感涙必至の名作と断言したい。

まさに魂の記録!

本書を拝読し、久方振りに鳥肌が立ち、目頭が熱くなり、しばらくは余韻が冷めやらぬ状況でした。
一気に読破してしまいました。
太平洋戦争となると議論尽きぬところで、国家に翻弄されたとか軍部の暴走があったとか言われますが、そんなことはどうでもいい。
人間は今も昔も社会や環境の中で生きるものだから、その中で彼らがどう軍人としての任務を遂行していったのか。
それだけで美しい。

これは記録として日本人が「知るべきもの」です。
まさに大和魂。
他人がどう評価しようがこれはまさに魂の記録。
読んで下さい。

美しく哀しい和魂

「お前らだけには殺られてたまるか」

硫黄島ではそれが合言葉であったのだろうか。
戦中の日本ではそれが合言葉であったのだろうか。

硫黄島に派遣せられたある部隊の中で、一人生き残った若い少尉が、仲間を殺していった米軍への憎悪だけで出来るだけ多くの敵を確実に殺していく場面があります。
「お前らだけには殺られてたまるか」
とずっとつぶやきながら激闘を繰り返し、いよいよ追い詰められた蛸壺の中で自らの顎に銃口を当て、地下足袋を脱いで足の指で引き金を引いて自決する。

自分ではわかったつもりで「戦争で亡くなった多くの若者の犠牲の上に今の日本とわたしたちがある」などと軽く口にしてしまうけれど、本当に私自身が戦争をわかっているのか疑わしくなりました。
 
私たちは本当の意味で幸せにならねば彼らに申し訳が立たないと思うのです。更にはそのこと以上にたくさんの惨い死に方を強いられた日本人、アメリカ人の魂を慰める必要があるということ、それは国を問わずに行われ続けるべきものでもあること、平和を祈ることなど、たくさんの課題を向けられ、戦死したものの魂を鎮めるにはどうすべきなのか、重くのしかかってくる作品です。結局鎮魂のためには、それぞれが自分にしかできない方法で模索していくよりほかに、現代日本においては術がない。
現在に直結する歴史を綿密につづった、非常に読み応えのある作品です。硫黄島の激闘を忘れるべきではない。

日本人として知らなくてはいけない事

 東西8キロ、南北4キロしかない小さな硫黄島で、日本兵2万米兵約3万人の戦死者を出した、太平洋戦争最大の激戦であった戦闘を当時数少ない生存者の証言の基に書かれた価値ある作品。

 人が住むに到底適さぬあの小島に、二万もの日本人がどのように死んでいったのか、同胞として必ず知る必要がある事柄でしょう。日本人の無念の死を活字に残そうとする著者の姿勢を本書には強く感じます。

 そういった必要性を感じることの出来る人には、必ず読むべき作品と考えます。

 本書を読み終え、涙が頬を濡らすとともに、魂安らかにならんことを心より祈るばかりです。

『日本の歴史講座ガイド』はアマゾンアソシエイトプログラムを利用しています。
Copyright 2005 日本の歴史講座ガイド All rights reserved.