本書は、政党政治が終わり、どのような過程を経て第二次大戦に突入していったかが描かれている。1924年から1941年についての通常の理解は、昭和恐慌、世界恐慌と続き、2.26事件と軍部の暴走、日中戦争勃発、官僚統制、インフレなど、とても暗いイメージが強い。
本書では、確かに暗黒の時代が描かれ、政治・外交・軍事上の日本政府の失態が分析されている。これはこれで勉強になった。それよりも私にとって興味深かったのは、そうした中で人々が何を考え、どういったことに楽しみを見出していたのか――など、歴史の教科書では描かれなかった(記憶に残らなかっただけかもしれない)事実が紹介されている点である。
歴史の本は偏った記述になりがちで、バランスの取れた本を探すのは非常に難しい。しかし、本書は文体、視点ともに非常にバランスが取れているだけでなく、立体的な歴史が描かれている。右にも左にも偏らず、かつ生き生きと描かれた歴史の本を読みたいという方にお勧めしたい。
本書は大正デモクラシーから対米開戦までを取り上げている。大正デモクラシーは維新後、紆余曲折を経て日本が国家目標としてきたものが達成され様々な点で成熟した時期である。
一方で国際社会は新たな展開を見せつつあった。第一次大戦で敗戦したドイツではヒトラーのナチスが台頭し、ソビエトではスターリンが実権を掌握。中国では国民党と共産党が覇権をかけ争い始める。何よりも大きな変化はアメリカが国際社会に本格的に登場したことである。この若い国家アメリカは国連という新しい国際社会での問題を取り扱う舞台を用意した。
日本は国外に対しては「この国連との関係をどのようにしていくのか」また国内では「どのような国家を目指していくべきか」という問題に取り組むことになった。本書はそういった新しい問題に日本がどのように取り組み、その取り組みの妥当性について検証している。