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岡崎 久彦

陸奥宗光とその時代

陸奥宗光とその時代

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定価 : ¥ 1,200
販売元 : PHP研究所
発売日 : 2003-03

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¥ 1,200 陸奥宗光とその時代

???陸奥は、明治を代表する外交官であり、日清戦争の講和条約である下関条約において、全権として活躍したことが知られている。その出自は江戸幕府御三家である紀州藩士であり、それだけに薩長藩閥が取り仕切る明治政府にあってはながく官職に恵まれず、西南戦争の際には政府転覆を画策したとして逮捕の憂き目にも遭っている。廃藩置県直前に紀州藩の藩政改革を断行し、徴兵による近代兵制を整えるなど、その持てる才は明治の俊秀たちの中でも抜けたものがあったが、時代はそれを十分に生かしきれてはいなかった。 ???陸奥がその力を存分に発揮し始めるのは、明治政府の永年の懸案であった条約改正の任に当たるようになってからである。そしてその後、下関条約とその後の三国干渉を乗り切るまで、もっともよく陸奥を理解し、その能力を全開にさせたのは伊藤博文だった。その意味で伊藤もまた政治の天才であったことが知れる。彼らによる当時の日本の外交力は世界に冠たるものであり、それが日本を先進国に押し上げたことが、本書からうかがわれる。それはおそらく、日清・日露の両戦争に勝利した以上の役割を果たしたといってもいいのだろう。 ???陸奥は死の間際に「健康が回復したならば、総理になって、三十年来の抱負を実現する」と語っていたという。おそらく陸奥が健在であればそれは十分可能だったであろうし、もし陸奥が薩長の出身であれば、それはおそらくすでに果たされていたはずである。明治という日本の近代化を実現した時代を、もうひとつの視点から描いた1冊である。(杉本治人)

これは「とてもとてもとても」面白い本です

 本の体裁は大変地味ですが、本を開けてパラパラ捲って読んでいくうちにドンドンハマッテいきました。大変面白い本です。読み応え十二分です。面白い面白い。特に印象にる一説は、陸奥のトーチャンのセリフで「考えてると意気揚揚としているが(何か課題に取り組んでいる時)、何もないと鬱々としてしまう・・・頭の良い人には案外こういう病気が多い・・・正確な判断を下すには、愛憎の妄念を断ち切る事が重要だ。」というようなことを述べるところです。
 岡崎さんの本はどれも丁寧に書かれてありますね。特にこの「・・・とその時代シリーズ」は、ご本人も言われているとおり「信用できる方々と意見をつき合わせて対論形式で・・・ここらヘンが妥当な線だろう・・・という詰め方をして書いた。」と。一言一句が丁寧に書かれてあることが分かります。寸分狂いが無いように、正に「巧みの技」のようです。正に客観的・冷静に・正確に・・・偏見を極力排した・・・書き方になってますよね。それには本当に感心しました。「こういう書き方も有るんだな・・・」と。物事を本当に大局的に、敷衍して、何と言おうか・・・高い視点から書かれてありますよね。何処の国の人が読んでも参考になるような書き方になってます。本当に感心するし、とてもとても面白い本です。

日本人のみんなに読んでほしい!

600ページの長編であるが、面白い。啓発される。そして、これまで教えられてきた明治維新以降の歴史観が「薩長史観」だったということに気づかせてくれる。薩長閥で占められていた権力構造のために、我々は知らぬまに、薩長の観点からの歴史観・物の見方をさせられていたわけだ。
本書のすぐれている点は、@現代の視点とAその時代の通念である時代精神の視点という複眼から、外交史を軸に、該博な知識のもとに人物を描き出し、そこに目からうろこが落ちるような「見識」が見られるところにある。私は、アンダーラインを引きっぱなしで、書棚から陸奥宗光の著書『蹇蹇録』などを広げずにおれなかった。刺激を与えられ続けた。日本のデモクラシーの成立過程が理解できるなど、論点がぎっしり詰まった啓蒙書だ。
小学生でも読めるようにほとんどの漢字にルビがふってある。そこに国民教科書でありたいという気迫が感じられる。日本国民に訴え、やがて英訳して世界に訴えたいという魂のこもった一級の評伝である。

陸奥宗光とその時代について

陸奥宗光がいなければ、独立国家としての今の日本は無かったかも。
子供のころに味わった父の理不尽な処置がいつか復讐してやるという生きる力となり、坂本竜馬との出会が彼の才能を開花させ、これからの日本のありかたや陸奥の志ができたように思う。諸外国に不平等条約を改正させ、日本の未来を見据えて行動していく様は凄い。彼が達成できなかった議会民主主義も、彼の死後引き継がれて今の日本の政治体制になっていく様が客観的に書いてあるところがいい。

薩長史観を裏返して見る

薩長史観を根底から覆すような話が、とりわけ面白かった。
明治のはじめ、紀州藩は強力な軍隊を育成して、薩長ににらみをきかしたそうだ。もともとは、廃藩置県にむけた動きを先取りした、四民平等的原理の国づくりであったそうだ。
武力の重みが効を奏して、廃藩置県が実施される。しかし、薩摩藩は武士の存在意義を「武」にしか求める事ができず、のちの西南戦争につながっていくと言う。
明治史の空白の部分に光を当てる試みのように感じられ、とても好感を抱いた。

列強への道

障子の小さく破れた穴から見える世界が全てだった日本が、突然障子が倒れ大きく広がる世界を目にする。世界の中の日本という位置付けを知り、新たに開かれた枠組みで、また新たに日本の位置付けを構築する。
明治の人が何を目指し、何を追い求めたのか。
それを、後世の人間だからこそ見える客観情勢の主人として、世界情勢を把握し、高いところからその時々を眺められる場所へ連れていってくれる。
物事を判断するということは、1つの要素が欠けてしまえばその判断は狂う。何かに捕われれば、真直ぐに物事を見る目が失われてしまう。そういった誤差を丁寧に排除し、歴史の姿をとんっと目の前においてくれる。
歴史に切断は無く、絶間無く続く時の中で、陸奥宗光が、伊藤博文が、そして明治の人が作り上げ、今に残してくれたものをここへ描写し、また後世へと繋ぐ1本の襷のような本でありました。

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